さいとう行政書士事務所では、災害被災時の事業復旧支援についてサポート業務を行なっています。
岡山県では、平成30年7月に西日本豪雨災害の影響によって倉敷市真備町を中心に大規模な災害に見舞われました。岡山のイメージは”晴れの国おかやま”と思い込んでいた私も大きなショックを受けた出来事でした。
当ページは、業務内容とは少し違う内容とはなりますが、災害時に必要な企業の対応等を書かせていただきます。
■被災直後の初動が大切ー災害支援の経験からー
私は、平成30年7月の豪雨災害被災直後から被災地である倉敷市真備町へ入り、ボランティア活動、行政機関の支援活動に参加させていただきました。その経験の中で、被災直後に企業に必要な行動は常に”初動”であることを痛感してきました。災害が起きた直後に経営者は何をすべきか、その判断によって後の復旧活動の規模も早さも大きく変わっていきます。被災直後に必要なことは情報収集です。
①従業員など人の安否確認
②企業の被災規模の確認(写真やリストを作る。)
③決算書等の帳簿書類の確認
④支援策や近隣状況の情報収集(地元の支援機関等を確認する。)
上記の情報収集を行おうと思っても、被災直後はインフラ設備が崩壊していることが多くあります。日頃使えるはずだった携帯電話さえも不通になります。
その様な被災直後では、正確な情報収集、情報発信を行うために地元の支援機関を活用することは有効な手段だと実感しています。平素は関わりがない状態であったとしても、地元の支援機関がどこにあるのか確認しておくことは大切です。
■災害復旧の支援策について
災害が発生し”激甚災害”と判断されると、国や地方自治体から様々な支援メニューが発表されます。代表的な支援策として”中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(通称:グループ補助金)”などがあります。東日本大震災以後、熊本地震や西日本豪雨災害、令和元年東日本台風などの被災地の企業を救い続けている補助金です。その他にも、特別貸付や、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金などの制度にも”被災型”と呼ばれる特別枠などがあります。また、従業員を守ることを目的とした雇用調整助成金や一時退職の制度など雇用に関する支援制度もあります。代表的な制度の他にも、地方自治体や各省庁から発表される復旧支援(雇用、清掃、解体など)の補助・助成も多く発表されます。
多くの被災地に共通することですが、被災から一定期間は、インフラ崩壊によって、被災者の情報収集能力は著しく低下します。どれだけ有効な支援策が作られようよ、知らなければ何の役にも立ちません。繰り返しになりますが、緊急事態の対策として、歩いてでも行ける地元支援機関を確認し、活用を検討しておくことは非常に大切です。
■支援の制度は常に変わる
各制度には原則が存在します。例えば補助金で支援が受けられる設備は”汎用性が無い”ことが要件となっていたります。しかし、このような原則も被災の状況、環境によって変わることも多々あります。
西日本豪雨災害では、それまで大地震で多く活用されていたグループ補助金が、豪雨災害でも活用できることとなりました。そして大地震時と豪雨災害時での大きな違いもクローズアップされました。それは水害の場合には、電気を動力源とした全ての機器が壊れてしまうことでした。自動車、通信機器、IT関連危機等、事業で必要な設備機器の殆どが電気を動力としており、その全てが被災によって壊れたのです。そんな状況を被災者が国に伝えたことで原則対象外であった自動車やパソコンも復旧する設備の対象となることになりました。
しかし、これらの発表がされたのは被災から1ヶ月程度経った日のこと。被災直後にしか支援機関を訪れていなかった被災者の方の中には”自動車やパソコンは対象外”としか伝えられておらず、その後の変更を知らなかった方も多くいらっしゃいました。(その後の商工会等支援機関の広報活動で変更箇所の周知は概ね全ての事業者に伝えられましたが。)当コラムでは、被災時の支援機関の大切さを何度も書かせていただいていますが、支援機関が行う情報収集と情報発信は被災した皆様の最大の武器です。
(支援機関と連携すべきこと)
①困っていることは支援機関に伝える。(大きな課題は国に伝えてもらえる。)
②週に1度は支援機関で情報収集する。(補助対象は急に変わる。)
③アンケートや訪問には協力する。(国等に伝えたいことがある場合が多い。)
そして私も、被災地域の支援機関の要請で今年度まで倉敷市真備町へ中小企業庁のプロジェクトである”岡山県よろず支援拠点”のコーディネーター(専門家)として常駐させていただいております。余談ではありますが、岡山県のグループ補助金は今月いっぱいで完全な目処が立ちそうです。
■BCP(事業継続力強化計画等)の大切さ
昨今、中小企業庁からも被災時等に企業が事業を継続させるための計画策定が勧められています。そして、その策定が”ものづくり補助金”で加点されたりもします。わかりやすい手引きも出ており、BCP(事業継続計画)とはどのようなものか簡単に調べることができますので、是非一度は目を通してみてください。
昨今、東日本大震災より10年が経つこともあり、支援機関等が行う様々な”BCP無料セミナー”が開催されています。昨今は新型コロナウイルス感染症が自然災害以上に猛威を奮っています。
①事業継続計画策定に必要な準備とは
②被災時に企業がとる行動とは
③事業復旧に必要なもの(人・物・金)とは
などを分かりやすく検討、策定できる制度となっておりますので、ご活用ください。
※当事務所でも作成の支援をさせていただいておりますので、お気軽にお問い合わせください。
■地域の支援機関等について
各地域や業界、制度によって様々な支援機関があります。災害時には企業にとって必要な情報を提供してもらえる重要な拠点となることが多いです。また、被災時には会員・非会員問わず対応してもらえる支援機関も多くあり、普段は関わりがなくとも非常時には心強い味方となってくださいます。
私たち専門家も被災時には被災者の方の力になれるよう活動をするのですが、個の力には限界があります。被災人には皆様の身近な専門家を通じて、地元や業種を管轄する支援機関と連携した支援を受けられることをおすすめします。
代表的な支援機関はコチラ
皆様の地域や業種などを管轄されている各支援機関をご確認ください。
■被災時の行政書士の仕事について
私たち行政書士は”官公庁への許認可申請”を専門とする仕業です。そして、災害時にはグループ補助金等の様々な書類の作成や官公庁への申請を代行することが業務の中心となりがちです。
しかし、実際の被災地で起こっている課題は、書類の書き方や、申請方法が分からないことではありません。
地域に住まれている方や、地元企業の経営者の皆様は、被災後に何をすればいいのか(考えられない)、すべきなのか(行動できない)が分からない事に大きな課題を持たれています。
当事務所では”0(ゼロ)から”でも被災からの復興が妥協なく行える環境を提案できるよう、様々な方面から支援ができる行政書士事務所であることを目標としております。お気軽にご相談ください。